
金の価格が高い水準で推移するなか、ご自宅に保管していた金を売却される方が増えています。
そうしたなかで、「一度だけ売るのと、何度も売るのとでは、税金の扱いが変わるのでしょうか」というご質問をいただくことがあります。
同じ「金を売る」でも、その中身によって考え方が変わる場合があります。
どのような場合に、違いが出るのかを、「譲渡所得・事業所得・雑所得」という税法の3つのキーワードから整理してみます。
なお、最終的な判断は一人ひとりの状況によって変わりますので、具体的な取扱いは税務署または税理士に必ずご確認いただけますよう、よろしくお願いいたします。
金地金の売却は「譲渡所得」
個人が保有していた金地金(インゴットや金貨など)を売却した利益は、原則として譲渡所得として扱われ、給与など他の所得と合わせて税額を計算する総合課税の対象になります。
総合課税とは、1年間に得た複数の所得の全てを合計し、その総額に対して所得税を算出する課税方式のことです。
また、ここでいう利益とは、売却額そのものではなく、売却額から取得費や売却にかかった費用を差し引いた金額を指します。
同じ「金を売る」でも、その中身はさまざまです
金の売却といっても、背景は人によって大きく異なります。代表的な3つのケースを見てみます。
- 自宅に保管していた金を、必要があって一度だけ売却するケース
- 相続で受け継いだ金製品を、整理のためにまとめて売却するケース
- 値上がり益を狙い、投資や転売の目的で繰り返し売買するケース
1と2は生活のなかで生じた資産の売却という色合いが濃く、3は利益を得ること自体を目的とした継続的な取引という色合いが濃くなります。
この「目的」と「継続性」の違いによって、所得区分の判断が分かれます。

「所得区分」は、回数だけで機械的には決まりません
金地金の売却は原則として譲渡所得ですが、その売買が営利を目的として継続的に行われている場合には、実態に応じて事業所得または雑所得となることがあります。
「継続的」と聞くと回数で線を引きたくなりますが、区分は回数だけで機械的に決まるものではありません。
所得税では、営利を目的とした継続的な行為から生じた所得なのか、生活のなかの資産の売却なのか、といった取引の実態が重視されます。
実際には、売買の目的、頻度、規模、継続性を総合的にみて判断されます。「何回まではセーフ」という単純な線引きではないので、迷われる場合は税務署または税理士にご確認いただくのが確実です。
事業所得と雑所得はどう違う?
営利を目的として継続的に金の売買を行っている場合でも、必ず事業所得になるわけではありません。
その売買が社会通念上「事業」と認められる規模や実態を持っている場合には事業所得となる可能性があり、事業とまでは認められない継続的な営利活動による所得については、雑所得として扱われる場合があります。
ただし、事業所得と雑所得の区分についても、取引回数や売上金額だけで一律に決まるものではありません。実際の活動内容や規模、継続性などによって判断が異なるため、具体的な所得区分については税務署または税理士へご確認ください。

複数回に分けて売却するお客様もいらっしゃいます
にじや質店では、同じお客様が金や貴金属を複数回に分けて売却されるケースも珍しくありません。
例えば、大量のアクセサリーを所有されているお客様が、最初からすべてを売却するのではなく、まず一部を「お試し」という形で査定・売却されることがあります。その際の査定内容や買取価格、接客などにご満足いただき、後日、残りのアクセサリーを持って2回目、3回目と来店されるケースもあります。
また、保有している金・貴金属が多い場合には、一度にすべてを売却するのではなく、売却する時期を分散させるという考え方もあります。金価格は日々変動しており、将来の価格を正確に予測することはできません。売却時期を複数回に分けることで、特定の時点の価格ですべてを売却することを避けるという考え方です。
ただし、いつ、どの程度売却するかについては、お客様ご自身に判断していただいています。なお、このように複数回に分けて売却したという事実だけで、所得区分が事業所得や雑所得に変わるわけではありません。所得区分は、売却回数だけではなく、売買の目的や規模、継続性など、取引の実態を踏まえて判断されます。
「売却額」と「売却益」は別
売却額とは、金を売って受け取る金額そのものです。
一方、税金を考えるうえで見るべきなのは売却益、つまり売却額から取得費(買ったときの金額)や売却費用を差し引いた利益の部分です。
たとえば40万円で買った金を60万円で売った場合、受け取る売却額は60万円ですが、利益にあたるのは差額の20万円です。

譲渡所得には特別控除の仕組みが設けられているほか、所有していた期間によっても計算方法が変わりますので、正確な取扱いは国税庁の案内や税理士にご確認ください。
「支払調書」と「確定申告」も別の話
支払調書とは、金地金などの売買を業として行う事業者が、200万円を超える対価を支払う場合に税務署へ提出する書類で、お店の側に課された手続であり、売却額を基準としています。
一方の確定申告は、売却した方ご自身が行うもので、利益(売却益)の状況などをもとに、その要否が判断されます。
2つは基準もタイミングも異なりますので、「支払調書が出なかったから申告はいらない」「出たから必ず税金がかかる」と単純に結びつけられないのです。

買取店が所得区分を決めるのではありません
売却された方の所得がどの区分になるか、確定申告が必要かどうかは、買取店が決めるものではありません。
にじや質店では、金・貴金属の査定と買取を行っていますが、お客様ごとの所得区分や確定申告の要否、具体的な税額などについて税務上の判断は行っていません。
税金や確定申告についてご質問をいただいた場合には、具体的な取扱いについて税務署または税理士へご相談いただくようご案内しています。また、当店から「この書類を保存してください」「この資料があれば税務上認められます」といった、税務上の取扱いにまで踏み込んだご案内は行っておりません。買取店として行う査定・買取業務と、税務上の判断とは明確に分けて対応しています。

まとめ|区分は「回数」ではなく「取引の実態」で判断されます
金の売却にともなう所得区分は、回数だけで機械的に決まるものではなく、売買の目的、頻度、規模、継続性といった取引の実態を踏まえて判断されます。
個人が保有していた金地金の売却は原則として譲渡所得ですが、営利を目的として継続的に売買している場合には、実態に応じて事業所得または雑所得となることがあります。
また、同じお客様が金・貴金属を複数回に分けて売却すること自体は、店頭でも珍しいことではありません。重要なのは単純な売却回数ではなく、「どのような目的・実態で売買しているのか」という点です。
ご自身の所得区分や確定申告の要否について判断が難しい場合は、税務署または税理士にご相談ください。
投稿者プロフィール

- 鑑定歴27年の代表鑑定士
-
東京都青梅市在住
株式会社クリエイティブファクトリー 創業者&代表取締役
【保有資格】
第1級陸上無線技術士
電気主任技術者
電気通信主任技術者
「真空管と質屋をこよなく愛する青梅人」で、質屋初代で質蔵を2つも建てたことがあり、電気系に強く自分で特許出願ができるという特技を持つ。
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内大手特許事務所にて特許出願を担当
1998年 個人事業主として創業し、真空管の輸入販売を開始
2000年 法人成りにより合資会社ささきに組織変更 資本金110万円
2012年 資本金1000万円に増資
2013年 株式会社クリエイティブファクトリーに組織変更
2014年 総合買取 にじや実店舗オープン
2022年 青梅街道 野上交差点そばに「にじや質店」をオープン
【好きな仕事】
ブランド品・貴金属・時計等の真贋鑑定、質屋、古物商、真空管の輸入販売、音響コンサルティング
【運営サイト】
質屋の「にじや質店」 https://nijiya-7ten.jp
「にじや質店X線ラボ」 https://nijiya-xray.jp
「にじや相続評価」 https://nijiya-souzoku.jp
真空管専門店の「ヴィンテージサウンド」 https://vintagesound.jp.jp
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質屋のご融資は、「物を担保として預けることで、誰でもその場でお金を借りることができる。」という古くからある由緒正しい庶民の金融機関です。
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つまり、質預かり期間は原則3ヶ月間で、質料(利息)は月計算となります。日割り計算は行っておりません。
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【1年分の利子、手数料、その他の費用を含めた最大年率と利率の明示について】
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【該当するすべての費用を含む、お借入れの総費用の代表例について】
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シャネルのバックを質入れして20万円を借りて、1か月後に返済した場合の利息は、月 利7%で1万4千円となります。この場合、借入金と利息を合わせた21万4千円で、質入れしたシャネルのバックを受け戻すことができます。言い換えれば、該当するすべての費用を含む、ローンの総費用は、21万4千円となります。
【お借入れの例2】
ロレックスの時計を質入れして70万円を借りて、1か月後に返済した場合の利息は、月利6%で4万2千円となります。この場合、借入金と利息を合わせた74万2千円で、質入れした時計を受け戻すことができます。言い換えれば、該当するすべての費用を含む、ローンの総費用は、74万2千円となります。
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